「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」鑑賞後メモ

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 今作の序盤において、空港内で発見された爆弾を解除するために高度な人工知能を搭載したAIが繰り出すなぞなぞにトム・クルーズやその仲間たちが全力で答えていくという面白すぎる展開があるのだが、そこにおいて提示される今作のテーマや内包されているメッセージなどは割とシニカルなところもある。「あなたにとっていちばん大切なものは?」という小学生の心理テストのような質問に対してサイモン・ペグ演じるベンジーが切羽詰まった様子で「友達だ!」と答える。その後なんやかんやで爆弾は解除されるが、中身を確かめてみるとなにも入っていないただの空の容器であることが判明する。AIに弄ばれる人間、という構図であると同時に、かたちのないもの(ここでは友情だろうか)こそが答えというか真理、というある種トムの悟り的な?思想も垣間見えたような気がした。トム、いいひとだろうからな。たまたま個人的にもそんなようなことを考えたりもしていたので、妙にしっくりきてしまった。バカっぽいというか子供っぽいのかもしれないけれど、ことこの日本においては実はそういったフレンドシップ的なケアの感覚ってあまり重要視されていないように思える。

 今作の前半、1時間半くらいは正直アクションパート以外ものすごい眠かった。実際少し寝た。宇野維正も言っていたけれど、確かに会話パートが内容的にもショット的にも薄っぺらすぎてむしろ逆に潔さすら感じる(にしては上映時間長すぎるが)。もう変に良い話にしようとは考えずにアクションパートに全ての労力を注ぎ込んでいることがハッキリとわかる。予告編にもあった、バイクで崖からピョーンの場面からはもうめちゃくちゃ面白かったし笑えた。マイルス・モラレスもそうだけど、「君はどう生きるの?」に対して身ひとつで飛び降りてみせるその潔さは、とてもエレガント。

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