youtu.be 映画という形態にどれだけ多くの情報量を搭載できるのか、という限界にクリストファー・ノーランは挑んでみたのだろうかと思ってしまうほど、とにかく次々にあらゆるものが視覚と聴覚、そして全身を刺激し続けてくるような印象を受けた。アクション…
youtu.be 「同じことの繰り返しだ。どこかへ向かっている気が全くしない」と話すカーク(タイ・シェリダン)に対して、「ああ。ひたすら回ってるんだ。納得いくまでな」と返す主人公のウィリアム・テル(オスカー・アイザック)らふたりの劇中におけるこのや…
youtu.be IMAXの巨大なスクリーンにとてつもなく巨大なものが現れたり動いている様子が映し出され、さらに緻密に構築されたサウンドデザインの音響や劇伴が全身を貫いていく心地よさ。「デューン」自体は非常に情報量の多いSF小説ではあるものの、ドゥニ・ヴ…
open.spotify.com サイバーパンクという過剰さからこぼれ落ちる、ささやかで繊細なKamuiの人間性。というものが「YC2.5」というアルバムから垣間見えるものだとすれば、「RAFRAGE」から立ち昇るのは、現実という殺伐とした世界をベースにしながらも、そこか…
youtu.be 「冷たさ」についての映画。現代の東京を主な舞台としているが、カメラが切り取る主人公らの暮らすマンションの一室や街の景色、自動車やロマンスカーの鉄とガラスの質感はヒンヤリと冷たさだけを帯びていて、まるでSF映画を見ているような心地がす…
久々にとてつもなくポジティブなヴァイブスに溢れたものを目撃した。特にガチなヒップホップヘッズというわけでもないタイミングから今までインターネットの端っこからひっそりと見守っていた、2010年代以降の日本語ラップシーンを牽引していた存在、BAD HOP…
youtu.be 「古い記憶と出会いなおすための装置としての映画」についての物語であるように思えた。現在の視点(観客席)から過去を見つめ直す眼差しと、スクリーンの内部に収められた過去から未来の世界に向けられた眼差しとが重なり合う瞬間の高揚、スリル。…
youtu.be さながらプラネタリウムのような映画だと思った。観客が目撃するのは「周期」についての物語であり、世界のあらゆる場所にバラバラに存在する、ひとやものがそれぞれ内包する周期が交錯し合う様子が常に映し出されているように感じられた。藤沢さん…
昨夜、2月8日木曜日のテイラー来日公演2日目、東京ドームでのライブを友人と共に観に行った。 ライブを見終わってからはずっと脳内で”Cruel Summer”が流れ続けている。今はまだ冬だし、なんならこれから花粉症シーズンだったりで、マッドな恋愛模様が個人的…
youtu.be この世界に生きていることが幸せなのか不幸なのか、もはやわからなくなりそうになる。それこそが「みなに幸あれ」の「ミソ」なのではないだろうか。まあ、いざ死にそうになったらなったでなんとか生き延びようとするのが人間であるはずだ。ただ、だ…
心が揺れ動き続けて定まらないような状態はとても疲れるなとシズオは思った。人の心なんてわからないものであるということはあまりにも分かりきったことだろうけれど、現実にはあまりにもそういったことが多すぎて心がすぐに許容範囲を追い抜かれてしまう。…
youtu.be アメリカという国を構成している根幹的な思想として存在するキリスト教的なマインドを解体していくことを今作は試みているというか、より平たく言えばアメリカに暮らす白人中年男性による自己批判的なトーンが本編を覆っている。それぞれの人物造形…
youtu.be 言語化するのが難しい深い領域にまで触れるリーチの長さをこの作品は持っている。その領域とはなにか。「暴力が生まれるところ」や「光と闇のあわい」というような表現をするのがわかりやすいだろうかと思う。塚本晋也の新作「ほかげ」は、こういっ…
youtu.be ポリティカル・コレクトネス以降のあらゆる価値観の相対化や変動によってこの世界の文化におけるとある側面の問題は改善され、別の部分は大して変化せず、また場合によっては悪化している事柄も数多くあるのだろう。しかし、そもそも、そういった事…
youtu.be ゴジラが出現する直前の予兆を表すものとして深海魚の死骸が海に浮かび上がってくるという演出があるのだけれど、その死骸が色合いや形状的に男性器や精子を思わせるものになっているところに少し驚いた。これによって今作におけるゴジラが、男性性…
youtu.be 岩井俊二の映画は観たことがなかったのだけれど、少なくとも「キリエのうた」においてこのひとは「揺れ動き」についての話をしたいのだなと感じた。現在と過去を交互に行き来するかのような編集と手持ちで揺れ動きが多いカメラの撮影や人物の表情に…
youtu.be 弾薬、食事、コワーキングスペース、iPhone、シェアスクーター、輸送、そして音楽と時間。とにかくあらゆるものを片っ端から消費していくことでマイケル・ファスベンダー演じる殺し屋(The Killer)は生きている。目には見えないけれど遠くに薄ぼん…
youtu.be アヴァンタイトルにおいてアメリカ先住民の人々による死者を弔う儀式が執り行われる様子が映し出されるのは、作中におけるアメリカ白人男性たちとの「死」に対する見方や価値観の決定的な違いを印象付けるためであるように思えた。先住民の人々は皆…
youtu.be ストーリー自体はとてもシンプルだと思うけれど、細やかな演出の積み重ねによって「人間らしさ」を可視化していく手腕や、ネパール、インドネシア、中国や日本といったアジアの国々を中心とした8カ国80ヶ所にクルーが赴いて撮影を行うことによって…
「豊かな想像力」というものはどこからやってくるのだろうか。シズオはいつも自分の脳みそが渇いているような、潤いが欠落したような状態で生きているようなイメージを日常において覚えることが多かったので、そんな無にも等しい状態から何かが勝手に湧き出…
youtu.be 正直にいうと、中盤あたりで眠たくて何度か目を閉じてしまった。朝から快便で気分が良かったからとか、劇場内の空調が程よい加減だったからとか、珍しく近くに変なお客がいなかったからとか作品とは関係ないレベルの要因も色々あったような気はして…
youtu.be シェン・ユー監督長編デビュー作である「兎たちの暴走」のフライヤーに記載された作品紹介文において「母と娘が娘の同級生を誘拐した2011年の実際の事件から着想を得て映画制作に取り組んだ」と記載されているように今作は実話ベースのものとなって…
youtu.be 1950年代のアメリカで放映されていたテレビ番組内の劇中劇、という体裁をとっているのはこの作品が「エンターテインメント」や「面白さ」といった観念そのものを思考の対象とするためなのだろうというふうに思えた。「面白さ」が対象化されるとはど…
youtu.be ワイドショーの街頭インタビューを模した映像から本編が始まる。玉城ティナが演じる「ミトヤマネ」というインフルエンサーに対しての印象が何人かの一般のファンの口から語れるのだが、それぞれトーンには違いがあるものの基本的には全肯定の意見し…
タケオに彼女が出来たという噂を聞いたシズオはある日彼の住む二階建てアパートの近くを通りかかったときにベランダの窓ごしに家の中をのぞいてみた。するとそこにソファに横になって眠っている女性の姿が見えたので、あれがあいつの彼女かなんて思いながら…
ネットやテレビなどのニュースでもサマソニ初日の熱中症に関する報道が話題になっていたけれど、現地は実際ほんとうに暑かった。俺は幼なじみと共に2日目のサマソニに参戦するため真昼の海浜幕張に殴り込んだ。もちろん前日のニュースを事前に確認していた俺…
youtu.be 破壊的、破滅的であることを良しとしている人間は現代においてはもはやパンクでもデストロイでもない、とざっくりと言えばそんなようなことについての文章がele-king紙版の新しいものに掲載されていた。では、一体何がセンセーショナルな表現足り得…
youtu.be 今作の序盤において、空港内で発見された爆弾を解除するために高度な人工知能を搭載したAIが繰り出すなぞなぞにトム・クルーズやその仲間たちが全力で答えていくという面白すぎる展開があるのだが、そこにおいて提示される今作のテーマや内包されて…
ケンドリック・ラマーは昨年リリースした新作「Mr.Morale & The Big Steppers」に収録されている「Mirror」という楽曲内において”I Choose me, I’m sorry”というラインを書き残した。かたや日本では宇多田ヒカルが昨年初めの「BADモード」収録の「PINK BLOOD…
湿度の高い空は雲に覆われていて、たまに雨が降ったり止んだりしている。そんななかで誰がやる気を起こしてなにかに取り組んだりするのだろうか。とは言いつつ今日も街は動き続けている。シズオには理解し難い摂理によって大量の人間の生活や心がかきまわさ…