「JOINT」鑑賞後メモ

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現代日本の裏社会模様って、こんな感じなんだな!!という新鮮な驚きを序盤の数十分で喰らう。

薄暗さが常にありつつも従来のヤクザ映画ではなかなか見られないであろう清潔感のある硬質なルックにも思わず見入ってしまった。劇伴もカッコいい。

出演している役者は公開時点ではまだ無名だった方がほとんどなのでとてもフレッシュな印象があり、演技の演出も重苦しくないため観ていてとても心地よかった。すごいつまらないこと言うけど、すげー面白かった。

・出てくる男たち、なんかみんなおしゃれしている。普通に街中で見かけるような顔つきの人の方が多くて生々しかった。

・この作品内でやりとりされるものは違法薬物などではなく、情報。それはほとんどITビジネスとしての様相を呈している。殴り合いや銃弾が飛び交う場面は、タイトな範囲に絞められているように感じた。

・情報や富と対になるようなものとして、主に主人公やその周りの人間たちの間の友情があるように感じられた。裏社会の模様が描かれる映画なので仁義や忠義といった言葉を用いてもいいのかもしれないが、これらを作品内で体現する役割を果たしていたのは男たちではなく、とある一人の女性登場人物であったように感じられた。

・物語の基本的なプロットや主人公がいつも来ているブラックの長いレザージャケットなど、ブライアン・デ・パルマの93年の作品である「カリートの道」からの引用がなされている。モチーフの置き換え方が面白かった。

・「ベンチャー」や「ルーター」といった単語の注釈がわざわざ差し込まれるのは、この作品が「繋がり」を描いているものであることを示すためなのではないかと思う。

そこには深い闇のような因縁やビジネス的な利害関係も含まれてはいるだろうけれど、もっと原初的でピュアな繋がりを築き、守り抜くことこそが「楽園」へ辿り着くためのパスポートになり得るのではないか。というメッセージが込められているように思った。