「ドリームプラン」鑑賞後メモ

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・音楽のセンス、映画的な腕力が強い作品。

冒頭辺り、抜群のタイミングで気持ちいい音楽が流れる。ここでもう作品の強さを感じざるを得なかった。

ラケットでボールを打つ「ブーン!」の瞬間に置換的なショットの流れで時の経過を見せる箇所など、観客をグッと引き込む演出に長けていた。近所の人との人騒動の場面なども、グイグイ引き込まれて泣かされてしまう。

ウィルスミスをはじめとしたウィリアムズ一家を演じる面々の演技のアンサンブルが見ていてとにかく楽しいし、感動させられる。素晴らしかった。

 

・リチャードがなぜ無謀にも思える計画を成し遂げられたのか。これは単なる美談だけで終わる話ではないだろう。そうせざるを得なかった背景がある。

劇中では時間を大きく割いて描かれはしないが、LA暴動の直前であることがわかる演出なども配置されている。

リチャードの幼い頃の経験やアフリカンアメリカンの人々が辿ってきた歴史など、アメリカやその他多くの国々に今も存在する社会の歪みが彼の中に強迫観念を植え付けたであろうことを表している。

彼らのような人たちがアメリカで安定した収入や仕事を得ることの難しさ、過酷さについて考えさせられてしまう。

 

・歴史、環境、構造、計画、謙虚、ケア

 

・ラストの試合での場面、主人公が控え室付近のような場所から家族のいる観客席に移るという場面を通して、彼が「プランナー」としてではなく「父親」として娘を応援しようとする姿勢に移り変わっていく様をスッと描いているところが個人的にグッときた。静的な演出も丁寧だったと思う。