「万引き家族」再訪メモ

・それぞれ強いエゴを抱えた面々が「痛み」を共感、共有し合うことで「家族」の形を成す。

・それぞれの欲望の成就のために「家族」を演じる先に、「家族」や「愛」を超える「何か」を瞬間的にかたどる。

 物語の中盤で上がる花火が見えないのは、彼ら自身がまさに花火の如く瞬間的に美しいカタチを成しているから。彼らはその瞬間にそれに気づくことはない。

 全く意図していないような瞬間にそれぞれの良心が繋がり合っている。

 「正しさ」だけで囲われた世界に「優しさ」は生じ得ない。

・おばあさんは割と呪いの根源のような存在。でも彼女も被害者の1人でもある。

 社会の歪みによって生まれた負の感情がある。それを濾過できるのは人間の優しさとか愛。

 そんな中で「痛み」を知る、共感することができる父と母を介してしょうたとりんは愛を知る。「家族」とは決別するが未知の未来へ進むための新たな地平に立つ。

 松岡茉優の役はその逆というか、優しさの裏にあった復讐や憎しみの感情を知る。割とホラーだし、かわいそうではある。この世代(ゆとり世代)を描く上で必然だったのか。